執行猶予獲得の条件とは?①

2019-07-23

執行猶予獲得の条件とは?①

京都市左京区に住んでいるAさんは、近所のスーパーで万引きをしたことにより、京都府川端警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、
①昨年も万引きをしたことによる窃盗罪で略式罰金30万円の刑罰を受けていました。
②10年前に窃盗罪で懲役2年の有罪判決を受け、刑務所に行ったことがありました。
③昨年、窃盗罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けていました。
Aさんの家族は、どうにか執行猶予などの寛大な処分を求められないかと、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・窃盗罪と執行猶予

Aさんのしてしまったような万引き行為は、刑法上の窃盗罪にあたります。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へのご相談の中には、窃盗事件の被疑者となってしまった、家族が窃盗罪の容疑で逮捕されてしまった、という内容のものも多く見られます。
そして、それらの中には、過去に窃盗罪を犯してしまったにもかかわらず、再度窃盗罪を犯してしまったという方も少なくありません。
窃盗罪にはご覧いただいた通り、罰金刑の規定もありますが、何度も繰り返してしまえば当然起訴され、刑事裁判を受け、刑務所に行くことになってしまいます。

今回は、窃盗事件で執行猶予を獲得したいと考えているAさんやその家族の事例を例にとり、①~③の場合それぞれどういったことが考えられるのかを検討していきます。

・①の場合

まずは事例①の場合を検討してみましょう。
Aさんは1年前に同様の窃盗罪で罰金刑を受けていることから、今回の窃盗事件では起訴され、刑事裁判になる可能性が高いと考えられます。
刑事裁判で有罪判決を受ける場合、多くは懲役刑を宣告されることになります。
そうした場合、執行猶予がつかなければ刑務所へ行くことになってしまいますから、何とか執行猶予を獲得したいと考える方は多いでしょう。

そもそも執行猶予とは、一定期間言い渡された刑罰の執行を猶予し、その猶予期間中に犯罪をすることなく過ごした場合、言い渡された刑罰を受けることなく刑罰権の消滅を認めるという制度です。
執行猶予がどういった時につけることができるのかは、刑法25条に規定があります。

刑法25条(刑の全部の執行猶予)
1項 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。
ただし、次条第1項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

このうち、今回の①のケースでは、刑法25条1項1号の条件に当てはまり、執行猶予獲得を目指すことができると考えられます。
Aさんは、窃盗罪の前科がありますが、それは罰金刑にとどまっており、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」であると言えます。
ですから、後は言い渡される刑が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の範囲内になるようにすることが必要です。
窃盗罪の法定刑は、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっていますから、もちろん言い渡される刑が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」を超えてしまう可能性もあります。
そのため、執行猶予獲得のためには、示談締結や再犯防止策の徹底等を主張し、言い渡される刑が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の範囲に収まるよう求めていくことが必要とされるでしょう。

「初めて正式裁判になるような場合には執行猶予になる」「被害額が少なければ執行猶予になる」という情報も散見されますが、先ほど挙げた条文にあるように、執行猶予は「その刑の全部の執行を猶予することができる」と定められているだけで、必ずつけてもらえるものではありません。
情状が悪ければ、すぐに執行猶予のつかない実刑判決が下されることも否定はできません。
執行猶予を目指すのであれば、少しでもリスクを減らすために、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、執行猶予に関するご相談ももちろん受け付けております。
まずは弁護士の話を聞いてみたいという方も遠慮なくお問い合わせください(0120-631-881)。