執行猶予獲得の条件とは?③

2019-07-27

執行猶予獲得の条件とは?③

~前回からの流れ~
京都市左京区に住んでいるAさんは、近所のスーパーで万引きをしたことにより、京都府川端警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、
①昨年も万引きをしたことによる窃盗罪で略式罰金30万円の刑罰を受けていました。
②10年前に窃盗罪で懲役2年の有罪判決を受け、刑務所に行ったことがありました。
③昨年、窃盗罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けていました。
Aさんの家族は、どうにか執行猶予などの寛大な処分を求められないかと、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・③の場合

③の場合、Aさんは昨年窃盗罪で懲役1年執行猶予3年という有罪判決を受けているとのことですので、Aさんは執行猶予期間中に再び窃盗罪を犯してしまったということになります。
そもそも、執行猶予は、一定期間刑罰の執行を猶予し、その期間刑事事件を起こさなければ刑の言い渡しの効力がなくなる=刑罰を受けずに済む、という制度です。
執行猶予期間中に犯罪をしてしまえば、その執行猶予は取り消されてしまうことになります。

刑法26条
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
(以下略)

1号 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
2号 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
(以下略)

刑法26条の2
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
1号 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
2号 第25条の2第1項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
(以下略)

執行猶予が取り消されてしまった場合、元々言い渡されていた刑罰を受けることになり、さらに執行猶予が取り消される原因となった犯罪の刑罰も加えて受けることになります。
刑法26条にある通り、執行猶予期間中に窃盗の再犯をしてしまったとして、その再犯の窃盗事件で実刑判決を受ければ、元々ついていた執行猶予は必ず取り消されてしまうことになります。

では、執行猶予中に犯罪をしてしまった人は必ず執行猶予を取り消され、刑務所に行くことになるのかというと、そうではありません。
非常に難しいことではありますが、それでも執行猶予を再度獲得できる可能性は全くないわけではないのです。
ここで、刑法25条2項を見てみましょう。

刑法25条2項
前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。
ただし、次条第1項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

ここでいう「前項」とは、刑法25条1項のことで、刑の全部執行猶予をつける場合を規定しています。
つまり、刑法25条2項の条件を満たせば、刑の全部執行猶予をつけることができるということなのです。
では、その条件は一体どのようなものとなるかというと、(1)前に禁錮以上の刑に処せられていてその刑の全部執行猶予中であること、(2)言い渡された刑が1年以下の懲役又は禁錮であること、(3)情状に特に酌量すべきものがあること、の3つとなります。

③のケースのAさんを考えると、Aさんは昨年執行猶予付き判決を受けていますから、(1)には該当します。
ただし、(2)(3)に該当するのかどうか、該当するとしてそれを適切に主張し認めてもらえるかどうかは、裁判での弁護活動にかかっています。
例えば、被害者・被害店舗との示談締結や、窃盗の再犯防止のための専門的治療の必要性等があれば、それらを主張していくことになると考えられます。
(2)や(3)の条件をクリアするのは専門家である弁護士でも非常に難しいことですから、再度の執行猶予を目指す際には、刑事事件に強い弁護士に早期から相談し、慎重かつ丁寧に検討を重ねることをおすすめいたします。

このように、執行猶予期間中の再犯であっても、再度執行猶予を獲得することは全く望みがないわけではありません。
しかし、前述したように、その条件をクリアすることは非常に難しいことです。
だからこそ、③のようなケースでは、執行猶予を目指すために入念な準備が必要になります。
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