執行猶予獲得の条件とは?②

2019-07-25

執行猶予獲得の条件とは?②

~前回からの流れ~
京都市左京区に住んでいるAさんは、近所のスーパーで万引きをしたことにより、京都府川端警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、
①昨年も万引きをしたことによる窃盗罪で略式罰金30万円の刑罰を受けていました。
②10年前に窃盗罪で懲役2年の有罪判決を受け、刑務所に行ったことがありました。
③昨年、窃盗罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けていました。
Aさんの家族は、どうにか執行猶予などの寛大な処分を求められないかと、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・②の場合

②の場合、Aさんは10年前に窃盗罪で懲役2年の有罪判決を受け、刑務所に行った前科を持っています。
一般に、何か犯罪をしてしまった時、前科、特に同種前科がある場合には、処罰は重くくだされる傾向にあります。
万引きの初犯で被害額が小さい場合には、お店への弁償等の状況によっては微罪処分や不起訴処分となることも多いですが、それが2回目3回目…と繰り返されれば、罰金でも済まず公判請求され、刑事裁判となることになります。
そして、前回の記事でも掲載した通り、窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていますから(刑法235条)、窃盗罪を繰り返せばより重い懲役刑を下され、刑務所へ行くことも考えられます。
実際にAさんは10年前にその懲役刑を受けることになっています。

では、過去に窃盗罪で懲役刑を受けた前科があれば、その後窃盗罪を犯してしまった時には必ず刑務所へ行かなければならないのでしょうか。
もう一度執行猶予の条件について定めた条文を確認してみましょう。

刑法25条(刑の全部の執行猶予)
1項 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

前回の記事の①のケースのように、初めて公判請求され刑事裁判を受けるというような場合には、この刑法25条1項1号の条件に当てはまることから、言い渡される刑罰が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金であれば執行猶予をつけることができます。
今回の②のケースの場合には、その次の号に当てはまる可能性が出てきます。

刑法25条1項2号では、刑務所に行ったことのある前科のある人について執行猶予をつける際の条件を決めています。
この条文によると、過去に刑務所に行ったことのある前科があったとしても、「その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがな」ければ、言い渡された刑が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金であるとき執行猶予をつけることができるとされています。
つまり、過去に前科があったとしても、相当の期間刑事事件を起こさず刑務所に行くことなく経過していれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性はあるということになります。

②のAさんの場合、10年前に懲役2年の有罪判決を下されていることから、刑務所での懲役を終えて出所したのが8年前となります。
そこから刑事事件を起こさず刑務所に行くことなくに今回の窃盗事件を起こしたとすれば、「執行を終わった日」から「5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない」ということになります。
ですから、Aさんは刑法25条1項2号の条件に当てはまり、言渡された刑罰の重さによっては、Aさんにも執行猶予がつけられる可能性は十分に考えられるということになります。

・公判請求を避けられる?

他に刑務所を避ける方法としては、不起訴処分の獲得や略式罰金での事件終了が考えられます。
これらを目指すためには、窃盗行為の被害者や被害店舗との示談締結が必要不可欠となってくるでしょう。
そのためには、弁護士の手助けを受けながら、示談のために必要な手続きや示談の内容について検討していくことが望ましいでしょう。
示談の締結は、公判請求され裁判となった場合でも、執行猶予獲得のための大きな材料となりますので、早期から弁護士に示談交渉を含めた弁護活動を相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、前科があるが執行猶予を目指したいという方のご相談も受け付けております。
執行猶予獲得の細かい条件は、なかなか一般の方にはわかりづらいところもあります。
弊所の弁護士刑事事件専門の弁護士ですから、そういった分かりづらい部分についても丁寧にご説明いたします。
まずは遠慮なく初回接見サービスや初回無料法律相談をご利用下さい。