飲酒運転

酒気帯び運転および酒酔い運転は,飲酒をして自動車やバイクなどを運転した場合に成立する犯罪です。

飲酒運転の刑事罰は、「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分かれ、酒酔い運転の罰則が「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、酒気帯び運転の罰則が、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。

酒酔い運転(正常な運転ができないおそれの状態)

アルコールの保有量に関わらず、飲酒して自動車などの車両等を運転した中で「アルコールの影響で正常な運転ができない状態」の場合、処罰の対象となります (道路交通法117条の2第1号)。

「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」

※なお、酒酔い運転については,自転車も自動車同様に処罰されます。

酒気帯び運転(一定以上の保有量)

飲酒して自動車などの車両等を運転した中で、身体のアルコール保有量が、血液1mlにつき0.3mg又は、呼気1リットルにつき0.15mg以上である場合、処罰の対象となります(道路交通法117条の2の2第1号)。

「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

※なお、自転車は処罰されません

飲酒運転Q&A

①呼気1リットル中0.15ミリ・グラムとは?

個人差などから一概にはいえないですが、ビールなら大瓶1本(アルコール量25グラム)未満、日本酒は1合(180ミリ・リットル、アルコール量22グラム)未満でも、ピーク時にはこの濃度に達すると言われています。

ビール1~2本、日本酒1~2合の「ほろ酔い期」は、基準値の2~3倍が検出されるといわれています。

なお、深夜まで大量に酒を飲んだ翌朝に「一晩過ぎたから大丈夫」とハンドルを握ると、基準値を上回っている場合があるので注意を要します(日本酒2合程度でも平常に戻るのに7時間かかる方もいられます)。

②酒酔い・酒気帯び運転の刑罰と違反点数の関係について?

酒酔い運転・酒気帯び運転の刑罰と違反点数の関係は、下記表のとおりです。

現在は、酒気帯び運転でもアルコール濃度が0.25mg以上の場合、過去に違反歴が無くても1回で免許取り消しになります。

≪酒酔い・酒気帯び運転の刑罰と違反点数の関係≫

  刑罰違反点数
酒酔い運転 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金35点
酒気帯び運転0.25mg以上3年以下の懲役又は50万円以下の罰金25点
0.15~0.25mg13点

≪違反点数と免許停止・取消しについて(※)≫

点数234567891011121314
0回    306090
1回  6090120取消    
2回90120150取消         
3回120150取消          
4回150180取消          

※縦が過去3年間の行政処分(免停・免許取消し)の回数で、横が累積の違反点数です。表内の数字は免停の日数です。
なお、以下の条件をみたすと、累積点数はリセットされます。

①1年以上無事故無違反で累積点数が無くなる
②行政処分されると累積点数はゼロになり前歴が付く
③処分後、1年以上無事故無違反で前歴が無くなる
④2年以上無事故無違反の場合、3点以内の違反は3ヶ月で累積点数が無くなる

③飲酒運転により人を死傷させた場合にどのような刑罰を科せられるのですか?

飲酒運転により人を死傷させた場合には、重い刑罰科せられます。

罰金刑がなく、罰金刑を納めることにより手続きから解放される略式処分手続きの利用はありえません。具滝的な刑罰は下記表のとおりです。

(飲酒運転で事故を起こして人を死傷させた場合)

運転の態様最高刑根拠となる法律
酒気帯び運転懲役10年自動車運転死傷行為処罰法5条(過失運転致死傷罪)と道路交通法117条の2の2第3号(酒気帯び運転)の併合罪(※)
酒酔い運転懲役10年6月自動車運転死傷行為処罰法5条(過失運転致死傷罪)と道路交通法117条の2第1号(酒酔い運転)の併合罪(※)
酩酊状態での運転アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態懲役12年(負傷事故)
懲役15年(死亡事故)
自動車運転死傷行為処罰法3条1項(準危険運転致死傷罪)
アルコールの影響により正常な運転が困難状態懲役15年(負傷事故)
懲役20年(死亡事故)
自動車運転死傷行為処罰法2条1号(危険運転致死傷罪)

※併合罪
確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪といい、併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁固に処するときは、その最も重い罪について定めた系の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた系の長期の合計を超えることはできない。

④飲酒運転の車両提供者や同乗者等に対しても刑罰は科せられるのですか?

道路交通法違反として、処罰される可能性があります。

前述のように、「飲酒運転」は道交法違反となりますが、これ以外に「一定の関与をした者」も違反として罰則が適用されます。

具体的には「車両の提供」「酒の提供・すすめる」「飲酒運転者に対し自己の運送の要求・依頼」があげられます。

罪名処罰・法定刑
運転者が 酒酔い運転 の場合運転者が 酒気帯び運転 の場合
車両提供者5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(道路交通法117条の2第2号)
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(道路交通法117条の2の2第3号)
飲酒運転の同乗者、酒類を提供した者3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(道路交通法117条の2の2第3号)
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 
(道路交通法117条の2の2第3号)

飲酒運転事件における弁護活動

①飲酒運転に至る経緯・事件の全体像の把握

飲酒運転事件で警察に検挙・逮捕されてしまった場合、初犯であれば罰金で済むことも多いです。

しかし、呼気から検出されたアルコール濃度が高い場合や人身事故を起こしてしまった場合、無免許運転だった場合等には、初犯であっても正式裁判になる可能性が高いです。

飲酒運転を繰り返しており、前科や逮捕歴がある場合、懲役の実刑判決が言い渡されることにより刑務所に入ることとなる可能性もあります。

そこで、飲酒運転に至った経緯や動機、飲酒したものの種類や量、飲酒してからの経過時間、その他の事情を精査し全体像を確認した上、適切な弁護方針をご案内いたします。

逮捕直後から、飲酒運転に強い弁護士が弁護を引き受けることで、一貫した弁護活動を行うことができます。

②示談活動

飲酒運転をして人身事故を犯した場合、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります。

示談は契約ですので、被疑者と被害者が合意することにより作ることになりますが、被疑者が捜査機関に被害者の連絡先を聴いても教えてもらえないのが通常です。

また、仮に連絡先を知っていたとしても、相手方の被害感情が強い場合、直接被疑者が被害者と交渉を行うのは非常に困難であるといえます。

一方、弁護士を通じれば、検察官より被害者の連絡先を教えていただける場合が多々あります。

ですので、弁護士に依頼することにより被害者とコンタクトをとりやすくなります。

また、弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。

③早期の身柄解放

人身事故・死亡事故で警察に逮捕・勾留された場合、容疑者・被告人が反省しており逃亡したり証拠隠滅したりするおそれがないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張していきます。

早期に釈放されることで、会社や学校を長期間休まずに済み、その後の社会復帰がスムーズに行いやすくすることができます。

④環境を改善する

自分の意思とは異なり、アルコールを絶つことができず飲酒運転をされる方に対しては、依頼者の方と相談しつつ、必要であれば専門クリニックでの矯正プログラムの検討を行うとともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポート致します。

また、重大事故を起こした場合や交通事故の前科がある場合は、運転免許を返納した上で車を売却する等の検討も視野に入ってきます。

また、職場の近くに転居するなど車を使わなくても生活できるよう環境を調整していく必要があります。

環境調整のための様々なアドバイスを致します。

⑤無罪を主張する

飲酒してから交通事故が発生するまでにかなりの時間がたっている場合は、飲酒運転の故意が認められないとして無罪になる余地があります。

本人の認識内容や関係者の供述を検討し、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。

飲酒運転・酒酔い運転・酒気帯び運転事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へお問い合わせください。

刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。すぐにお問い合わせください。

 

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