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【事例紹介】消費者金融アプリのアカウントに不正アクセスしてお金を不正に借り入れた事例②

2024-03-17

【事例紹介】消費者金融アプリのアカウントに不正アクセスしてお金を不正に借り入れた事例②

ATMから引き出し

前回のコラムに引き続き、消費者金融会社のスマートフォンアプリのアカウントに不正アクセスしお金を借り入れたとして不正アクセス禁止法違反窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警サイバー捜査課などは11日、不正アクセス禁止法違反と窃盗の疑いで、(中略)再逮捕した。
再逮捕容疑は、京都市南区の男(22)=同罪などで起訴=ら男2人と共謀し、昨年8月27日、消費者金融会社のスマートフォンアプリを使い、いずれも20代で東京都や岡山県に住む男女3人のアカウントに不正アクセスし、京都府京丹波町と南丹市のコンビニATMから借入金計150万円を引き出して盗んだ疑い。
(後略)

(3月11日 京都新聞 「インフルエンサー悪用で被害相次ぐ…不正アクセスで150万円引き出した疑いで男を再逮捕」より引用)

窃盗罪

刑法第235条では、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

簡単に説明すると、窃盗罪は他人の持ち物をその人の許可なく自分や第三者の物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、消費者金融会社のスマートフォンアプリのアカウントに不正アクセスし、ATMから借入金を引き出したとして不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反窃盗罪の容疑で再逮捕されたと報道されています。
今回の事例では窃盗罪は成立するのでしょうか。

まず初めに、容疑者らがATMから引き出したとされる借入金刑150万円が容疑者らの手に渡る前の持ち主が誰なのかを考えていきましょう。
考えられる可能性として挙げられるのは、不正アクセスされたアカウントの本来の持ち主である借入の名義人、容疑者らが不正アクセスしたとされる消費者金融会社でしょうか。
実はどちらも違います。
容疑者らの手に渡る前の持ち主は、そのATMを管理している銀行になります。

ではなぜ、借入した名義人や消費者金融会社ではなく銀行が持ち主になるのでしょうか。

銀行と預金者(消費者金融会社の口座名義人)は口座開設の際に、預けたお金は銀行が自由に使うことができ、銀行は預金者が預けたお金と同等の額のお金を預金者が引き出す形で返還する契約を締結しているはずです。
消費者金融会社側が銀行に預けたお金はすでに融資などですでに使われているでしょうから、容疑者らが引き出したとされるお金は消費者金融会社の持ち物だとはいえません。
同様の理由で他の預金者の持ち物だともいえませんの、そのお金が保管されていたATMを管理している銀行が持ち主にあたります。

本来借入金を受け取るはずだった借入人ではない人が借入金を引き出していますので、借入金は銀行の意思に反して容疑者らの持ち物にされたことになります。
ですので、容疑者らが実際に不正アクセスを行ってATMから借入金を引き出したのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。

今回の事例では、被害額が150万円と高額であり、罰金刑では済まずに懲役刑が科されてしまう可能性があります。
懲役刑とは刑務所に収容されて刑務作業を行わなければならない刑罰ですので、懲役刑が執行されると刑務所に行き、自由が制限されることになります。
やはり自由が制限されるのはつらいですし、何とかして刑務所に行くことを避けたいと考える方も多いかと思います。
もしも執行猶予付き判決を獲得することができれば、有罪になって懲役刑が下されたとしても、再犯などしなければ刑務所に行かなくてよくなります。

執行猶予付き判決を獲得するためには、取調べ対応示談締結などが重要になってきます。
窃盗罪の経験豊富な弁護士による弁護活動で執行猶予付き判決を獲得できる可能性がありますので、窃盗罪でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】勤務しているコンビニから人気トレーディングカードゲームを盗んだ事例

2024-03-11

【事例紹介】勤務しているコンビニから人気トレーディングカードゲームを盗んだ事例

万引き

勤務しているコンビニからポケカを盗んだとして、窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

自身が勤務するコンビニ店で人気トレーディングカードゲーム「ポケモンカード(ポケカ)」を盗んだとして、京都府警上京署は6日、住所不定、アルバイト店員の男(30)を窃盗の疑いで逮捕した。「売れば金になる。生活費の足しにしたかった」と容疑を認めているという。
発表では、男は上京区内のコンビニ店で勤務していた4日午前3時25分頃、店内でポケカ100枚(販売価格計3980円)を盗んだ疑い。5枚入りや10枚入りで販売されており、店内の防犯カメラには男がカードをカバンに入れる様子が映っていたという。
(後略)

(3月8日 読売新聞オンライン 「勤務するコンビニでポケカ100枚盗む…容疑で逮捕の男「売れば金になる」」より引用)

窃盗罪

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は簡単に説明すると、人の物を持ち主に無断で自分の物や他の人の物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者が勤務するコンビニ店からポケカを100枚盗んだとされています。
盗んだとされているポケカはコンビニで販売されていた商品だったようですので、このポケカの持ち主はこのコンビニ店になります。
実際に容疑者がポケカをお店の許可なく持ち帰ったのであれば、無断で自分の物にしたことになりますから、窃盗罪が成立する可能性があります。

転売目的での窃盗

転売目的での窃盗は、被害額が同程度の窃盗事例と比べて科される刑罰が重くなる可能性があります。
転売目的窃盗を行う場合は盗品で利益を得ることになりますし、自分が消費する目的で盗む場合と比べて被害が大きくなってしまう可能性もあります。
ですので、転売目的による窃盗は、通常の窃盗に比べて悪質性が高いと判断される可能性が高く、転売目的窃盗はより重い刑罰を科されるおそれがあります。

今回の事例では、容疑者が「売れば金になる。生活費の足しにしたかった」と容疑を認めていると報道されていることから転売目的による窃盗だと思われますし、自身の務めているコンビニ店から盗んだとされていますので、悪質性が高いと判断される可能性が高いといえます。

窃盗罪は懲役刑の規定がある以上、罰金で済まずに懲役刑を科されてしまう可能性があります。
懲役刑が科されてしまうと、刑務所に行き、刑務作業に従事しなければならなくなってしまいます。
ですが、執行猶予付きの判決を獲得することができれば、刑務所に行かなくて済む場合があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、不起訴処分や略式命令による罰金刑、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
窃盗罪で捜査を受けている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

肩がぶつけられた腹いせに現金を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで逮捕された事例

2024-03-03

肩がぶつけられた腹いせに現金を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで逮捕された事例

胸ぐらを掴む男性

肩がぶつけられた腹いせに現金を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで逮捕された事例ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府北警察署は、自営業を営む男性(32)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
男は、昼食を購入してコンビニを出ようとしたところ、前から歩いてきた大学生が男の肩にぶつかってしまい、男が手に持っていた栄養ドリンクは落ちて割れてしまった。
大学生は、スマホに夢中で前に男がいることに気づかず男にぶつかってしまったようで、男は、大学生に対し「前見て歩けや!どうしてくれるんや、靴に栄養ドリンクがかかって汚れたやないか。いくらすると思ってんねん」などとまくしたて、胸ぐらを掴み「弁償しないとどつき回すぞ」と言って、突然のことに怖くなった大学生は現金3万円を男に渡し、男がその現金を受け取った疑いが持たれている。
一部始終を目撃していた他の買い物客からの通報を受けた警察官に男は逮捕された。
取調べに対し男は、「ストレスが溜まっていてついキレてしまった。申し訳ないことをした」と反省している。
(フィクションです)

恐喝罪とは

刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

本件で、男は、自分にぶつかってきた大学生に対して、「どつき回すぞ」などど脅して現金3万円を受け取っているようです。
男の行為は恐喝罪にあたる可能性があります。

まず、恐喝罪にいう恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、男は、弁償しないとどつき回すぞと言って大学生を怖がらせています。
どつき回すと言うのは、身体に対する害悪の告知ですから、男の発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当すると言えそうです(①)。

次に②を見てみましょう。
男の上記行為は、被害者の反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか?
仮に、被害者の反抗を抑圧する程度の脅迫に該当した場合、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。
例えば、ナイフなどの凶器を手にした状態で、金品を渡さないと殺すなどと告げた場合には、要求に応じないと殺されるかもしれませんから金品を言われた通り差し出すしかないでしょう。
このような場合、反抗を抑圧する程度の脅迫にあたり、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。

本件では、男はどつき回すぞと脅して大学生を怖がらせていますが、凶器を持って脅したわけではないので、反抗を抑圧する程度の脅迫とまでは言えないでしょう。
したがって、どつき回すぞという男の発言は恐喝に当たると言えそうです。

また、本件では、男は大学生の胸ぐらを掴んで金品を要求しています。
これは財物交付に向けられた人を畏怖させるに足りる暴行と言えそうです。
また、胸ぐらを掴む行為は、被害者の反抗を抑圧する程度とまでは言えないでしょう。
したがって、胸ぐらを掴んで金品を要求した行為は恐喝に当たる可能性があります。

以上より、男には恐喝罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

本件で男はカッとなってやってしまったと言っていますが、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役ですから刑法の犯罪の中でも重たい犯罪を犯してしまっています。

執行猶予がつくためには、下される量刑が3年以下であることが必要です。
恐喝罪の法定刑は上述の通り10年以下の懲役ですから、執行猶予がつかない可能性があります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、下される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があります。

下される量刑を抑えるには、被害者との間の示談を成立させることが重要になってきます。
ただし、本件のように、胸ぐらを掴んでどつき回すぞと言われた被害者からすると、加害者とは関わりたくないと思っていたり、強い処罰感情を有していたりする可能性があるので、加害者本人が直接示談交渉を進めることは通常困難です。

そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
さらに、検察官に起訴される前に示談を締結できた場合には不起訴処分となる可能性も存在しますから、できる限り早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

一人暮らしの高齢者宅に侵入して金品を強盗した事例

2024-03-01

一人暮らしの高齢者宅に侵入して金品を強盗した事例

窃盗や強盗で手に入れたお金

一人暮らしの高齢者宅に侵入して金品を強盗した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府南警察署は、京都市内に住む自称自営業の男性(28)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、水道業者のふりをして京都市南区で一人暮らしをする高齢者(78)の自宅を訪れ、水回りの確認のためと言ってリビングに上がると、用意していた包丁を被害者に突きつけ、「財布にある現金と通帳をよこせ。渡さないと殺すぞ」と言って、現金70万と通帳のほか被害者が所有する高級時計を3点奪って逃走した疑いが持たれている。
(フィクションです)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は、刑法に規定されている犯罪の中で非常に重い罪の1つです。
例えば、被害者をバットなどで殴ったり、ナイフで刺すぞと脅したりすることで、抵抗することを難しくさせ、無理やり財産を奪うような行為が強盗罪にあたります。
財産を奪う点で窃盗罪と共通しますが、強盗罪は抵抗を困難にさせる程の暴行脅迫が手段として用いられる点で、被害者の生命や身体を侵害する可能性があることから重い刑が課されます。

本件では、男は、高齢の被害者に包丁を突きつけ金品を渡さないと殺すぞと脅しているようです。
本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
加害者の行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であったかどうかは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が拳銃やナイフなどの殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であったと判断される可能性が高くなります。

本件では、男は金品に奪うために包丁を高齢の被害者に突きつけています。
包丁は非常に殺傷能力の高い凶器ですし、加害者が若い男性であるのに対し、被害者は相対的に力の弱い高齢者です。
したがって、男の行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使であったと言えそうです。

また、男は包丁を突きつけて、金品をよこさないと殺すぞとも言っています。
これは反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知と言えます。

したがって、男が被害者に対して、包丁を突きつけて金品を渡さないと殺すぞと言った行為は、強盗罪のいう暴行脅迫にあたると言えそうです。

以上より、男は、包丁を突きつけて殺すぞと脅すことで被害者が反抗するのを困難にして、現金70万と通帳のほか被害者の集めていた高級時計3点を無理やり奪ったと言えそうですから、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪を犯した場合、多くの場合執行猶予がつきません。
強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役なのに対し、執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要があるからです(刑法25条)。

もっとも中には、被害者との間に示談が成立して執行猶予がついたケースもあります。
被害者との間に示談が成立していれば、刑の減軽がされ、下される量刑が3年以下の懲役になる場合があり、この場合には、裁判官は執行猶予をつけることができるためです。

執行猶予がつけば、刑務所に入らなくて済むため、今まで通りの生活を続けることができる可能性があります。
会社員であれば、会社に出社することが可能となりますし、本件のように自営業であれば今まで通り取引先と営業することが可能となります。
執行猶予がつかなかった場合何年も刑務所に入ることになりますから、会社員であれば解雇される可能性が高く、自営業の場合には今まで築いてきた取引先を失う可能性があります。

したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となりますが、加害者が直接、被害者と示談交渉しようとするのは得策ではありません。
本件であれば、被害者は包丁を突きつけられて殺すぞと言われているわけですから、加害者に対して非常に強い恐怖感を抱いているでしょうし、同時に強い処罰感情を有していることが考えられます。
したがって、加害者が謝罪したいと言っても聞いてくれない可能性が高いでしょう。

そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。加害者を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くして執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
示談は裁判官が判決を下す前に成立させる必要があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

コスメセレクトショップで総額2万円の窃盗をした疑いで女性が逮捕された事例

2024-02-28

コスメセレクトショップで総額2万円の窃盗をした疑いで女性が逮捕された事例

万引き

コスメセレクトショップで総額2万円の窃盗をした疑いで女性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府中京警察署は、京都市内のコスメセレクトショップにて、総額2万円相当の化粧品を盗んだ疑いで会社員の女性(35)を逮捕した。
女性は、店内をぐるっと1周したのち、有名ブランドの化粧品を自分のカバンに入れて代金を支払わずに店から出ようとしたところを私服警備員に呼び止められ、駆けつけた警察官に窃盗罪の容疑で逮捕された。
取調べに対し女性は、「盗んだ化粧品は定価より高く転売できると聞いて、お金欲しさにフリマアプリで転売するために盗んだ。」と容疑を認めている。
(フィクションです)

窃盗罪とは

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
ここでの占有とは、物の支配や管理のことを指し、占有が認められるためには、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、自宅の机の上に置いてある本は、自宅という特定の人しか中に入ることができない閉鎖的な支配領域に内にあるため、強い客観的支配が認められます。
また、すぐ読めるように机の上という目につきやすい場所に置いてあるのであれば、この本は自分のものであるという支配意思も強いと言えるでしょうから、家主に占有が認められます。

本件では、女性は、有名ブランドの化粧品を数多く取り揃えるコスメセレクトショップで販売されていた化粧品を自身のカバンの中に入れて店を出ようとしたようです。
女性が持ち出そうとした化粧品は、セレクトショップの中に並べられていたようですので、セレクトショップには、その化粧品に対して、強い客観的支配が認められます。
セレクトショップは、店舗内に並べている商品である化粧品に対して、自店舗のものだという強い支配意思を有していると考えられます。
以上より、セレクトショップは、女性が持ち出した化粧品を占有していたと言えそうです。

そして、女性は、その化粧品を代金を支払わずに店の外に持ち出したようです。
セレクトショップは、商品をその代金を払うことなく店の外に持ち出すことを許していないでしょうから、女性は化粧品を、占有者であるセレクトショップの意思に反して自己の占有に移転した、すなわち窃取したと言えそうです。

女性は、化粧品を自分の物であるかのように他人に転売しようとして、意図的に代金を支払わずに店の外に出ようとしたようですから、本件では窃盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

窃盗罪は被害者のいる犯罪です。
このような犯罪では、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
示談が早い段階で成立していれば不起訴処分となる可能性がありますし、仮に、起訴後に示談が成立した場合でも、罪の減軽や執行猶予付判決が得られる可能性があるからです。

もっとも加害者が直接動いて示談交渉をすすめることは通常困難です。
例えば、本件のように容疑者が逮捕されている場合には、自由に動くことができませんから、仮に被害者が示談交渉に応じる姿勢を見せてくれていたとしてもスムーズに示談交渉を進めることが難しくなります。
逮捕されずに在宅で捜査が行われる場合でも、窃盗の被害にあったセレクトショップの経営者は、窃盗犯に対し強い処罰感情を有している可能性が高いですから、直接接触しようとしても交渉のテーブルに着くこと自体拒絶されかねません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任することをおすすめします。
直接加害者とやり取りすることに抵抗を感じる被害者でも、弁護士が相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例紹介】現金を奪っていないのに、強盗致傷罪で逮捕された事例

2024-02-25

【事例紹介】現金を奪っていないのに、強盗致傷罪で逮捕された事例

窃盗や強盗で手に入れたお金

被害者を車で連れ去って監禁し暴行を加えることで現金を奪おうとしたとして、営利目的略取罪監禁罪強盗致傷罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警捜査1課と中京署は13日、営利目的略取と逮捕監禁、強盗致傷の疑いで、滋賀県豊郷町の建設会社社長など(中略)男4人を逮捕した。
4人の逮捕容疑は共謀して、(中略)京都市中京区の路上で、会社員男性(中略)の顔面を複数回殴り、車に押し込んで連れ去った後、滋賀県内の事務所に5日未明まで監禁。殴る蹴るの暴行を加えて軽傷を負わせ、「350万円払ったら逃がしたるわ」などと脅迫し、現金を奪おうとした疑い。府警は4人の認否を明らかにしていない。
(後略)

(2月13日 京都新聞 「退職申し出た従業員に暴行加え「350万円払ったら逃したる」 監禁などの疑いで建設会社社長ら4人逮捕」より引用)

営利目的略取罪

刑法第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

略取とは、暴行や脅迫を用いて現在の生活状態から離脱させることで自分や第三者の支配下に置くことをいいます。
営利目的略取罪は、大まかに説明すると、金銭を得るなどの営利目的で略取を行うと成立する犯罪です。

今回の事例では、被害者の顔面を複数回殴り車に押し込んで連れ去ったとされています。
殴る行為は暴行に当たりますし、車でどこかへ連れ去る行為は現在の生活状態から離脱させ、容疑者らの支配下に置く行為だと推測できます。
また、「350万円払ったら逃がしたるわ」などと脅迫したと報道されていますので、営利目的があったと考えられますので、実際に容疑者らが被害者を車で連れ去ったのであれば、容疑者らに営利目的略取罪が成立する可能性があります。

監禁罪

刑法第220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

監禁罪は簡単に説明すると、鍵のかかった部屋に閉じ込めるなど、脱出が難しいような場所に閉じ込めると成立する犯罪です。

今回の事例では、被害者を車で連れ去ったとされています。
走行している車内から外に出る行為は最悪の場合死に至りますし、少なくともけがを負うでしょうから、走行中の車から脱出することは困難だといえます。
ですので、相手の同意なく車に乗せて走行する行為は監禁罪が成立すると考えられます。

また、報道では滋賀県内の事務所に被害者を監禁したとされています。
報道内容だけでは詳しいことは明らかではありませんが、鍵をかけた部屋に閉じ込めていた場合などは、脱出することは困難でしょうから、監禁罪が成立するおそれがあります。
ですので、今回の事例で実際に容疑者らが被害者を車で連れ去り滋賀県内の事務所で監禁したのであれば、監禁罪が成立するおそれがあります。

強盗致傷罪

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪は簡単に説明すると、抵抗できないような暴行や脅迫を用いてお金などを奪うと成立する犯罪です。
強盗の際にけがを負わせると強盗致傷罪が成立します。

今回の事例では、容疑者らが被害者に殴る蹴るの暴行を加えて軽傷を負わせ、「350万円払ったら逃がしたるわ」などと脅迫して現金を奪おうとしたと報道されています。
軽傷といえどもけがはけがですし、実際に容疑者らが350万円払えば逃がすという発言をしたのであれば、容疑者らは暴行を加えることで現金を奪おうとしていると推測できるでしょう。
であれば、実際に容疑者らがそういった発言をし、被害者にけがを負わせたのであれば、強盗致傷罪が成立する可能性があります。

ですが、今回の事例では、実際に現金を手に入れることはできなかったようです。
その場合にも強盗致傷罪は成立するのでしょうか。

判例では、「強盗に着手した者がその実行行為中被害者に暴行を加へて傷害の結果を生ぜしめた以上財物の奪取未遂の場合でも強盗傷人罪の既遂をもつて論ずべき」(昭和23年6月12日 最高裁判所 決定)だとしており、お金などの財物の奪取が未遂、つまりお金などを奪えていなくても暴行を加えて傷害の結果を生じさせた以上、強盗傷人罪は成立するとされています。
強盗傷人罪は刑法で明確に規定されているわけではなく、強盗傷人罪も強盗致傷罪と同様の刑法第240条が適用されます。
ですので、強盗致傷罪についても、財物が奪えていない場合も強盗致傷罪が成立する可能性があると考えられます。

ですので、今回の事例で容疑者らが実際に被害者から現金を奪おうとして暴行を加え、けがを負わせたのであれば、強盗致傷罪が成立する可能性があります。

逮捕されたら弁護士に相談を

共犯者がいる事件では、証拠隠滅の観点から、家族の接見が認められない場合があります。
ですが、弁護士による接見等一部解除の申請により、家族の接見が認められる場合があります。
また、弁護士による意見書の提出や準抗告の申し立てにより釈放を実現できる場合がありますので、ご家族が逮捕された方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

返済見込みがない知人の会社に貸付を行ったとして背任罪で逮捕された事例

2024-02-15

返済見込みがない知人の会社に貸付を行ったとして背任罪で逮捕された事例

手錠とガベル

返済見込みがないにもかかわらず、知人の会社に貸付を行ったとして銀行の支店長が背任罪の疑いで逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府北警察署は、市内に支店を構えるイロハ銀行の支店長の男(45)を背任罪の疑いで逮捕した。
男は、資金繰りに苦しむ知人の経営する老舗の和菓子店から頼まれ、十分な担保を得ずに2000万の融資を当該和菓子店にする決断をした。
融資を受けた和菓子店の経営状況は非常に悪く、業績を回復する客観的な手立てもなかったため、融資の段階で男は返済が見込めないことはわかっていたが、小学校からの幼馴染が経営する店だったため独断で融資に踏み切ったとされている。
男の部下であるイロハ銀行の従業員から告発を受けて、京都府北警察署は捜査の上、男を逮捕した。
(フィクションです)

背任罪とは?

刑法247条 
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

背任罪は、窃盗罪のように誰もが犯す可能性がある犯罪ではなく、「他人のためにその事務を処理する者」が特定の行為を実行した場合にのみ成立する犯罪です。
本件では、イロハ銀行の支店長の男性が返済見込みのない企業に融資をして背任罪の疑いで逮捕されています。
銀行の支店長は、銀行という法人のために融資の判断などの銀行の事務を処理する者です。
したがって、支店長である男は「他人のためにその事務を処理する者」にあたり、銀行との間で男が負っている任務に背いた場合には、背任罪が成立する可能性があります。

そして、背任罪が成立するためには、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要です。
本件では、男は、小学校からの幼馴染である知人の経営する和菓子店が資金繰りに困っていたので、その知人を助けるために2000万の融資を決断しています。
したがって、第三者である知人の利益を図るという目的を有していたといえそうです。

次に、背任罪となる行為である「任務に背く行為」があったかどうかが問題となります。
この意義について、いくつかの見解が存在しますが、判例は、信任関係の違背であると考えているようです(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
本件では、支店長の男は、銀行から支店の業務について任されており、融資の判断にあたっては、回収可能性の有無を担保も含めて厳しく判断し、もし回収できそうにないのであれば融資を見送ることが求められていると考えられます。
にもかかわらず、男は、幼馴染を助けようとして、担保を提供させることなく回収見込みのない融資をすることを決断しています。
したがって、支店長の男は、銀行との間の信任関係に違背したといえそうですから、背任罪が成立する可能性があります。

財産上の損害の有無

ところで、背任罪が成立するためには、「本人に財産上の損害を加えた」ことが求められています。
たしかに、本件では、男は2000万円の融資を決断していますから、本人である銀行は2000万を失うという損害を与えられたといえそうです。
しかし、同時に、銀行は融資先である和菓子店に対して、少なくとも2000万円の債権を取得していますから、両者を合わせるとでマイナスとはならないため、財産上の損害は存在しないのではないでしょうか?
財産上の損害が加えられたか否かの判断について、判例は、経済的見地から財産の価値が減少したか又は、増加するべく価値が増加しなかったどうかで判断するとしています(最決昭和58年5月24日)。
本件についてみると、たしかに、銀行は現金2000万の喪失と同時に、2000万円の債権を取得しています。
しかし、債務者である和菓子店の財政状態は危機的であるため債権の回収見込みはなく、額面上2000万である上記債権の価値は2000万には遠く及ばないといえそうです。
したがって、経済的見地からは、男の融資により、銀行の財産の価値は減少したといえそうです。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性があります。

なお、会社法は、取締役等が背任罪にあたる行為をした場合に、これを重く処罰する特別背任罪という規定を設けています(会社法960条)。
刑法の背任罪の法定刑が5年以下の懲役又は50万円以下の罰金であるのに対して、特別背任罪10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとなっています(会社法960条1項2項本文)。
取締役等には支配人が含まれます(会社法960条1項6号)から、支店長の男が支配人として選任されていた(会社法10条)場合は、刑法の背任罪ではなく会社法の特別背任罪が成立することになります。

できるだけ早く弁護士に相談を

上記のように背任罪は損害を加えられた被害者のいる犯罪です。
通常刑事事件の被害者は加害者に対し強い処罰感情を有していることが多いです。
もっとも背任罪の被害者の中には事件を大ごとにしたくないと思う方もいらっしゃるため、真摯に謝罪し背任行為によって生じた損害を弁償すれば被害届の提出など事件化はしないという方向で示談に応じてくれることもあります。
仮に、警察が捜査に乗り出したとしても、示談が成立していれば不起訴処分となったり、量刑が軽くなったり、執行猶予付判決が得られる可能性があります。
もっとも、本件のように逮捕されていては、コンタクトを取ることは困難です。
そこで、なるべく早い段階で交渉のプロである弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が企業側と示談交渉を行い示談を締結することで、不起訴処分、刑の減軽、執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例

2024-02-11

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例

逮捕される男性

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府伏見警察署は、京都市伏見区内に住む会社経営の男性を横領罪の疑いで逮捕した。
男は、3年前から海外勤務をすることとなった知人から「帰国するまでの間、車を預かって欲しい」「預かってもらっている間は自由に使ってもらって構わない」と頼まれたため、経営する会社の駐車場にその自動車を停めていた。
ところが、経営する会社の負債が膨らみ立ち行かなくなったため、男は返済のためその自動車を売却した疑いが持たれている。
帰国した知人が、そのことに気づき被害届を提出したことで捜査の端緒となった。
男は取調べに対し「借金を返すため会社にあるめぼしい財産を片っ端から売る中で、知人の物ということを忘れてうっかり売却してしまった」と容疑を否認している。
(フィクションです)

横領罪とは

刑法252条1項
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

本件では、男は横領罪の疑いで逮捕されています。
横領罪とは、簡単にいうと他人から頼まれて預かった物などを自分の物にしてしまう犯罪です。
252条1項の横領罪が成立するための要件を①主体、②客体、③行為の3つの側面から見ていきましょう。

まず①主体すなわち、横領罪を犯すことができるのはどのような人物かについて。
252条1項の横領罪を犯すことができるのは、他人の物を占有(財物の事実的な支配や管理)する者に限られます。
本件では、男は、知人から頼まれて知人の自動車を預かっていますから、横領罪の主体にあたる可能性があります。

次に横領罪の②客体は、条文上「自己の占有する他人の物」とされていますが、文字通り自己の占有する他人の物すべてが客体となるわけではありません。
占有を離れた物を横領する行為については、刑法254条の占有離脱物横領罪が成立します。
したがって、252条の横領罪の客体となるのは、持ち主から頼まれて預かった場合のように、委託信任関係を原因として事実上または法律上支配力を有する状態下にある他人の物に限定されます。
本件では、男は知人から頼まれて自動車を預かっていますから、252条の横領罪が規定する客体にあたる可能性があります。

そして③本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件では、男は、知人から自動車を預かるよう頼まれていたにもかかわらず、当該自動車を売却しています。
物を売るという行為は、その物の所有者にしかできない行為ですから男の行為は横領に当たるといえそうです。

加えて、横領罪が成立するためには、故意すなわち男が横領にあたる行為を認識しながら実行したことが必要です。
警察が疑っているように、男が、自身の借金を返済するために知人の物とわかっていながら自動車を売却したのであれば、故意もあったということになり、横領罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

横領罪は被害者のいる犯罪です。
多くの場合、本件のように、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まります。
加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があることから、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をすれば被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。
仮に、被害届が提出され事件化してしまった場合であっても、被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分となったり、執行猶予付き判決が得られる可能性もあります。
もっとも、加害者自ら、示談成立のための条件を交渉した場合、強気にいきすぎて被害者の神経を逆撫でする可能性がありますし、逆に相手のいうことをなんでも飲んでしまい不利な示談条件となってしまう可能性もあります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

2024-02-09

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

犯罪行為で得たお金

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府右京警察署によると、京都市内に住む会社員の女性Aが、SNS上で知り合ったフォロワーに対して、有名高級ブランド品のバッグを売ると偽り、その代金として50万円を騙し取った疑いが持たれている。
被害に遭った女性のフォロワーは、代金を振り込んだ後にAから連絡があまり返ってこなくなり、一向にバッグも送られてこないことを不審に思い最寄りの警察署に被害届を提出したことで事件が発覚した。
Aが京都府右京警察署からの出頭要請を何回も無視したため、逃亡の恐れありとしてAは逮捕された。
女性Aは、「騙すつもりはなく本当に約束のバッグを調達して送るつもりだった」「今回は、バッグの調達予定先が在庫切れとなり、バッグを仕入れることができなくなったため代わりの調達先を探していたため遅くなっただけ」として容疑を否定している。
(フィクションです)

詐欺罪とは

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。
上記の4つの要件が満たされていた場合に、詐欺罪は成立します。

欺罔行為はあったのか?

本件では、Aは有名高級ブランドのバッグをフォロワーに渡すと言っておきながら、いまだに引き渡していないようです。
そのため、被害者とされるフォロワーは、自分は騙された、詐欺に遭ったんだと考えて警察に被害届を提出したという経緯です。
Aがしたことは詐欺罪にあたるのでしょうか?

詐欺罪が成立するためには、少なくとも上記①〜④にあたる事実が全て必要です。

①の欺罔行為とは、財物の交付に向けて人に錯誤に陥らせることをいい、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。

仮に、Aがはじめから約束のバッグを引き渡すつもりがなく取引を持ちかけ現金50万円を受け取ったとします。
この場合、Aは、50万という現金を自分の口座に振り込ませるために、被害女性を、バッグが手に入るという錯誤に陥らせています。
バッグが手に入らないのであれば50万をAに振り込むことはなかったでしょうから、財物交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ったということになりそうです。
したがって、Aによる欺罔行為があったことになり詐欺罪が成立することになりそうです。

ところが、本件では、Aは取調べに対して、容疑を否認しており、騙すつもりはなかったと言っています。
約束のバッグを本当に引き渡すつもりであったとのことなので、50万円の振込をするという判断の基礎となる重要な事項を偽ったわけではないことになります。
したがって、Aの主張が認められれば、欺罔行為は存在しないため詐欺罪が成立することもなさそうです。

結局、本件で詐欺罪が成立するかどうかは、Aの騙すつもりはなかったという主張が認められるかどうかにかかっているといえそうです。

出頭要請にどう対処すればよかった?

それでは、Aは本件でどのような行動を取ればよかったのでしょうか?
Aは、警察からの度重なる出頭要請を無視した結果、逮捕されています。
Aとしては、自分が詐欺をしたとは思っていないわけですから、警察に行く必要はないと考えたのかもしれません。
しかし、出頭要請を無視すると逃亡のおそれありとして逮捕されることがありますし、実際に逮捕されていますから、出頭要請を無視するのは得策ではなく、出頭すべきであったと言えるでしょう。

ただし、出頭するにしても何も準備しないで行くのはやはり得策ではありません。
出頭した場合、捜査機関からの取調べを受けることになります。
捜査機関が、すでにAが怪しいと考えていた場合、取調べにおいて、詐欺をしたと認めるように誘導してくる可能性もあります。
このような誘導に乗ってしまい、その発言を文書化した供述調書にサインをし、裁判になった際に証拠として使われた場合、これを覆すのは非常に困難です。

なるべく早く弁護士に相談を

したがって、出頭する前に、取調べで、何を認めて何を認めないのか、きちんと整理しておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

以上をまとめると、Aは、出頭要請を受けた段階ですぐに弁護士に相談して、取調べにどう対処するか準備をした上で出頭すべきであったと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、逮捕されるのを防げるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

2024-01-28

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

ハンマーを振りかざす男性

金庫の金を脅し取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府上京警察署は、無職の男性(34)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、深夜に包丁を持って一人暮らしの女性宅に侵入し、物音に気づいて起床した女性に刃物を突きつけながら「家にある現金を全てだせ。出すまで刺すぞ」と脅し、金庫に入っていた50万円を奪って逃走した疑いが持たれている。
(フィクションです。)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は、量刑が5年以上の有期懲役ですから、非常に重たい犯罪の1つです。
例えば、他人を凶器で殴ったり、脅したりして抵抗することを難しくさせ、無理やりに財産を奪うような行為が強盗罪にあたります。

このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが非常に発生しやすいと言えますから、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため重い刑が課されます。

手段としての「暴行又は脅迫」

一般に暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは害悪の告知を言います。
しかし、暴行・脅迫を犯罪行為の一部としている犯罪は暴行罪恐喝罪などたくさんあり、各犯罪によってその意味は微妙に異なるものと理解されています。

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、男は、現金という財物を手に入れようとして、被害者の女性に対し包丁を突きつけています。
寝起きの無防備な女性が、自分よりも力の大きい男性に包丁という殺傷能力の高い凶器を突きつけられた場合、反抗するのは困難と言えます。
したがって、男の包丁を突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

また、男は被害女性に対し、現金を出さないと包丁で刺すと脅しています。
包丁で刺すというのは身体に対する害悪の告知であり、上述のように、被害女性が男に反抗するのは困難でしょうから、強盗罪における脅迫にもあたりそうです。

結局、本件で男は、暴行脅迫を用いて現金50万という他人の財物を奪ったと言えそうですから、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役です。
執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要がありますから、本件の男のように強盗罪を犯した場合、執行猶予がつくことは諦めざるを得ないのでしょうか?

実は、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があります。
この場合には、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。

もっとも、本件のように、凶器を突きつけてきた加害者から謝罪がしたいと言われたとしても、被害者はこれに応じてくれる可能性は低いでしょう。
被害者としては、非常に怖いと思っているでしょうし、加害者に対する処罰感情も強いでしょうから、加害者が直接接触しようとするのは得策ではありません。 
そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。加害者を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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